フエへ

ロ・ヴー

航空券の予約確認書(eチケット)の内容を見ると、
名古屋発11:30、ハノイ着14:50となっていた。
日本とベトナムの時差2時間を含めると、およそ5時間20分。
次のフエへと向かう便は、ハノイ発17:45。
3時間弱の余裕がある。
国内便のチェックインが1時間前として、16:45頃までに何とか
チェックインカウンターまで到着できれば間に合う。
最悪30分以上前であれば、何とか乗せてもらえるだろう。

私がここまで乗り継ぎ時間を気にするには、理由がある。
まず第1に、自分も関係していたあるツアーで、アリタリアが
大幅に遅れ乗り継ぎ便に間に合わず、日本へ向かう飛行機に
置いていかれたグループが過去にあったこと。
第2に、旅行会社が「ベトナム航空は遅れることがあるので」と
同日乗り継ぎについての変更アドバイスをしてきたこと。
第3の不安材料は、5年ほど前の上海で、入国手続きになんと
1時間40分あまりも待たされた思い出があること。
当時の上海は、イミグレーションの窓口の数は名古屋よりも
かなりたくさんあったのだが、入国していく人間の数よりも
次々に到着する航空機から吐き出される乗客の数のほうが
圧倒的に多く、ロビーに収まりきらない人々で溢れていた。

そんな私の心配をよそに、ベトナム航空967便は、定刻通り
中部セントレア空港をテイクオフした。

機内アナウンスによると、ハノイまでの予定飛行時間は4時間30分。
おかしい。
キャビンクルーが言い間違えたか、確認書の時間が間違って
いるのか。はたまたベトナムにもサマータイムでも導入されたか?
到着予定に1時間の時差があるのは、今後の国内便の関係も
あるので、絶対クルーに確認しておかなければまずい。
到着した時間を見てから聞いてみよう。


実際にハノイのノイバイ空港に到着したのは、13:50。
早すぎる!
偶然すぐ近くにいた日本人クルーに聞いてみた。
「チケットに書いてある予定時間よりも到着が1時間近く早い
と思うのですけど、どうしてなんでしょう?」

彼女によると「今の季節、気流の関係で、南に向かう便の場合
最近は到着時間が早くなっています。それでも今日はいつもより
少し早めですけど」ということだった。

私と同様に思ったのか、気が付くと通路を挟んだ一つ斜め後ろ
にいたビジネスマン風の男性が会話に入ってきた。
「早く到着するのはありがたいですけど、ここまで早いとさすがに
ちょっと驚きますよね」

クルーの彼女も「お仕事のお客さまは、機内で『仕事を片づけ
ようと思っていたのに早く着いたので片づかなかった』とおっしゃる
方がたまにいらっしゃいます」と苦笑いをしていた。


ビジネスマン君とも笑顔で別れ、到着ロビーへと向かう。
歩きながら、いくら気流の関係といっても通常5時間20分が4時間
20分になるということはないだろうと思った。
キャプテンが早く家に帰りたかったのかな?
空の上では、スピード違反というのはないのだろうか。

ヤレヤレ。時間が足りないどころか、余りすぎるくらいたっぷり
できてしまった。
「フエ行きの便、ちゃんと定刻通り飛んでよ」などと思いながら
早くも楽しい旅の予感。
この旅の途中、これから何回ヤレヤレ、と思うことになるのだろう。

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Posted byロ・ヴー

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